2024.09.26更新

戸籍法の一部改正に伴い、従来、本籍地がある方についてのみ交付を行っていた戸籍謄本等を最寄りの市区町村で一括して取得することができる「広域交付制度」が今年の3月1日からスタートしました。

 

制度開始により、本籍地が遠くにある場合でも、自宅や勤務先など最寄りの市区町村で請求が可能となりました。
また、複数の本籍地の戸籍謄本が必要な場合でも、最寄りの市区町村でまとめて請求することができます。


これまでは、本籍地を管轄する市区町村役場の窓口に出向いて、または郵送によって取り寄せをする必要がありましたので非常に便利になっております。
ただし、この制度を利用する場合には、必ず請求者本人が市区町村役場に直接出向く必要があり、郵送や代理人等第三者による請求はできません。

 

なお、請求できる方は、以下に限られています。
➀本人
②配偶者
③直系尊属(父母や祖父母)
④直系卑属(子や孫)
※兄弟姉妹やおじ、おばの戸籍謄本等は請求できません

 

広域交付制度を利用することによって、相続に関する手続きの資料収集にかかる手間や時間が大幅に軽減されることになります。
今年の4月1日より相続登記の義務化も開始されております。
有効に活用して、手続きをスムーズに進めていきましょう!

 

詳しくは法務省のURLをご参照ください。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00082.html

2024.08.29更新

現下の急激な住宅価格の上昇等を踏まえ、今年度は子育て世帯や若者夫婦世帯における住宅取得を支援する目的で住宅ローン減税を行っております。

 

ポイント➊
子育て世帯や若者夫婦世帯における住宅取得を支援する観点から、子育て世帯等について、住宅ローン控除における借入限度額について、上乗せを行っていること

 

ポイント❷
子育て世帯にとっての利便性の向上や、様々な世代やライフスタイルに応じた住宅取得ニーズに対応する観点から、床面積要件について合計所得金額1000万以下の者に限り40㎡に緩和する(令和6年12月31日以前に建築確認を受けたものを対象)

 

【条件】
「子育て世帯等」とは、下記に該当する者をいいます。
➀年齢40歳未満であって配偶者を有する者
②年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者
③年齢19歳未満の扶養親族を有する者


ただし、新築住宅等にて認定住宅等以外のその他の住宅については住宅ローン控除の対象外となりますのでご注意ください。
※令和5年12月31日以前に建築確認を受けた場合、または令和6年6月30日以前に建築された場合は、借入限度額が2,000万円となります

 

詳しくはこちらの財務省のURLをご参照ください。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/income/r6kaisei.pdf

2024.08.23更新

「親から実家を相続したが、マイホームもあるし、住む予定も貸す予定もない」

「昨今、空き家が問題になっているが、まわりに迷惑がかからないように管理するのが難しい」

 

確かに今までも、自分で活用、相続放棄と方法はありましたが、相続放棄は不要な土地を含めすべて相続するか、ほかの資産も含めすべて放棄するしかありませんでした。

それならば、このまま放棄しようかな…。

 

ちょっと待ってください!!

一定の要件を満たせば、相続した土地を国が引き取る制度、「相続土地国庫帰属制度」が令和5年4月27日より開始いたしました。

 

相続した不要な土地の処分に困っている方は、この制度の利用も検討の一つに加えてみませんか。

詳しくはこちらの法務省のURLをご参照ください。

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html

 

なお、令和6年7月31日現在、2,481件の申請がありました。

2024.07.30更新

前回の「その一」に続く第二弾の「その二」となりますが、今回は「特定事業用宅地等」の特例について解説します。

 

「特定事業用宅地等」とは、被相続人が相続開始の直前において被相続人等の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業および準事業(事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うものをいう)を除きます。)の用に供されていた宅地等で、相続または遺贈により引き継いだものをいいます。

 

この特例が適用されれば、該当する土地について最大400㎡まで80%の評価減額が可能となります。

 

ただし、「特定事業用宅地等」の特例を受けるためには、次の区分に応じて、それぞれに掲げる要件の全てに該当する必要があります。

 

(1) 被相続人の事業の用に供されていた宅地等
その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること


(2) 被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用に供されていた宅地等
相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等の上で事業を営んでいること
ただし、その利用は使用貸借(無償使用)でなければならない

 

そして、上記の二つの要件に共通しているのは、相続税の申告期限の終了するまで、①相続した宅地等を保有し続けること(保有継承要件)と、②その事業を営み続けること(事業継承要件)が必須となっています。

なお、この特例を適用することで相続税が0円になる場合でも、必ず相続税の申告期限内に申告手続きをする必要がありますので注意が必要です。

2024.07.18更新

7月16日よりTAO税理士法人本部オフィスは藤沢リラビル4Fから2Fへ移転しました。

TAO相続支援センターはこれまで通り藤沢リラビル3Fでございます。

2024.07.02更新

小規模宅地等の特例とは、小規模な宅地について、一定の要件を満たす宅地等については最大80%評価額を下げて相続税の負担を軽減できるという制度です。これだけ大きな減額割合ですので、その要件を満たすには厳しい条件をクリアーすることが要求され、また、その要件も複雑なものとなっています。

 

小規模宅地等の特例の対象となる宅地等は、大きく分けて次の4つに分類されています。

① 特定居住用宅地等
亡くなった人の自宅として使っていた宅地等に対する特例
限度面積330㎡ 減額割合80%


② 特定事業用宅地等
亡くなった人の個人事業(貸付用を除く)として使っていた宅地等に対する特例
限度面積400㎡ 減額割合80%


③ 特定同族会社事業用宅地等
亡くなった人の会社(同族会社)として使っていた宅地等に対する特例
限度面積400㎡ 減額割合80%


④ 貸付事業用宅地等
亡くなった人が貸地又は貸家など貸付用としていた宅地等に対する特例
限度面積200㎡ 減額割合50%

 

今回は、上記4つの分類の内、亡くなった人が自宅として使用していた宅地等を対象とする「特定居住用宅地等」(上記①)について解説します。

亡くなった人が住んでいた土地について、「特定居住用宅地等」の要件を満たす取得者は「配偶者・同居親族・家なき子」の三者となります。

 

まず、「配偶者」は、無条件で要件を満たす取得者に該当します。


次に「同居親族」は、亡くなった人と同じ家に住んでいた親族が要件を満たす取得者に該当します。

ただし、二世帯住宅(区分所有)の居住形態の場合は要件を満たさないケースもありますので注意が必要です。

 

また、「家なき子」は、第三者所有の建物に賃貸暮らしをしている人が要件を満たす取得者に該当します。ただし、この場合は、その要件が次のとおり複雑となっています。

 

1. 居住制限納税義務者または非居住制限納税義務者のうち日本国籍を有しない者ではないこと
2. 被相続人に配偶者がいないこと
3. 相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた被相続人の相続人がいないこと
4. 相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の3親等内の親族または取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋に居住したことがないこと
5. 相続開始時に、取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと
6. その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで所有していること

 

なお、「特定居住用宅地等」の特例は、上記の他に亡くなった人と生計を一にする親族(亡くなった人と同じ財布で生活していた家族)が、亡くなった人所有の住宅に住んでいた場合も特定居住用宅地等に該当するとされています。

この場合、その要件を満たすのは「配偶者と生計を一にする親族」の二者になります。

 

また、小規模宅地等の対象となる宅地等を相続税の申告期限まで保有することが要件になっていますので、その前に売却すれば特例は受けられません。

ただし、無条件で特例の適用を受けられる配偶者は相続税申告期限前であっても対象の不動産を売却することができます。しかし、相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地等は、小規模宅地等の特例の適用対象外となります。

そして、亡くなった人が生前に老人ホームに入居していた場合でも、一定の要件を満たせば小規模宅地等の特例の適用を受けられますので知っておくと良いでしょう。


このように、小規模宅地等の特例の適用については、その要件の解釈が大変難しいため、税の専門家に相談されることをお勧めいたします。

 

2024.06.25更新

相続税額の2割加算とは、相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の1親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)および配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算される制度をいいます。

(相続税法第18条)

 

また、2割加算される理由は、次の2点によるものといわれております。


・法定相続人以外の人が相続するのは偶然性が高く「思わぬ収穫」であるため
・孫が次世代をスキップして相続すると相続税が一回分免れるため

 

 

例えば、以下の方は相続税額の2割加算の対象者となります。


(1)被相続人から相続または遺贈により財産を取得した人で、被相続人の配偶者、父母、子ではない人(例:被相続人の兄弟姉妹や、甥、姪として相続人となった人が該当します)


(2)被相続人の養子として相続人となった人で、その被相続人の孫でもあり、代襲相続人にはなっていない人(注:孫の場合は養子縁組をしても2割加算の対象者となります)
                                      (国税庁HPより抜粋)

 

2024.06.10更新

令和6年5月に国税庁より贈与税の申告状況が公表されました。

 

贈与税の申告書の申告人員は、歴年課税を適用した申告者が46万1千人、相続時精算課税を適用した申告者が4万9千人と総申告人員は51万人でした。

 

そのうち、申告納税額がある人(納税人員)は37万6千人で、その申告納税額は3,548億円となっています。これは、令和元年の2,500億円から比較しますと、約1,000億円増加しています。

 

また、贈与税の課税方法別の申告状況では、暦年課税の申告納税額が2,985億円、相続時精算課税の申告納税額が563億円で、いずれも対前年比10,9%増加しています。

 

近年、富裕層に限らず相続税対策の話題が多くなっている中で、今回の税制改正を踏まえて今後の贈与税の申告状況の動向が注目されます。

2024.05.28更新

デジタル財産(遺産)とは、法律上の定義はありませんが、亡くなった人がスマホ・パソコン・CD・メモリーなどにデジタル形式で保管していた財産(遺産)を意味するのが一般的です。

 

なお、相続の金銭的な側面に着目して財産的な価値のあるものだけを指していう場合もあります。例えば、次のような財産(遺産)が該当します。


〇暗号資産(仮想通貨)
〇電子マネー
〇クレジットカードのポイントやマイレージ
〇デジタルの著作物(著作権)
〇NFTアート
〇ネットバンクやネット証券の口座

 

上記の財産(遺産)は、目に直接見えないために遺品整理などの際に発見することが難しい場合があり、そのままにして放置されて、後でマイナスの影響を及ぼすことがありますので注意が必要です。

 

具体的例としては、①相続税の申告漏れ、②アプリの料金が知らないうちに加算されていた、③故人の写真や友人の情報が見つからない、④情報漏洩の不安などが、これまでに指摘されています。

 

また、相続税に関連するところでは、相続人によるデジタル財産(遺産)の把握において、故人の情報が「アドレス」や「パスワード」がわからなければ、財産の残高などの確認ができないという大きなリスクがあります。

もし、相続人がデジタル財産(遺産)の存在に気付かなければ、永久に知られることもなく、忘れられた財産(遺産)となることも危惧されます。

 

このような事態を引き起こさないために、デジタル財産(遺産)を所有している場合には、相続人がその存在を把握できるように生前の段階で財産(遺産)のリストを作成し、「アドレス」や「パスワード」の所在をわかるようにしておくなどの対策が肝要となります。

2024.04.18更新

「死因贈与」とは贈与する人(贈与者)と、貰う人(受贈者)との合意(契約)に基づいた贈与の一種で、贈与する人が死亡した時にその贈与の効力が生じる法律行為です(民法第554条)。

 

これに対して生きている間に財産を渡すことを「生前贈与」といいます。また、一方で、財産を渡す人が亡くなったことを原因に財産を無償で渡す法律行為に「遺贈」があります。「遺贈」とは、自分が亡くなった時に、自分の財産を他の人に渡すことを遺言書に明記することによって、財産の移転をすることをいいます。

 

このように「遺贈」「死因贈与」はどちらも財産を渡す人が亡くなったことを起因として行われる法律行為であることから、税務上においては相続税の課税対象となるという点では同じです。しかし、「遺贈」は財産を渡す側による一方的な意思表示を原因としますが、「死因贈与」は財産を渡す側と貰う側のお互いの意思の合意が必要となります。

 

このように両者の大きな違いは契約(合意)の有無ということになります。なお、登記の際の登録免許税や不動産取得税の観点からは、税務上の取り扱いと違い「遺贈」は相続として財産を貰うものとなりますが、「死因贈与」はあくまで贈与として財産を貰うものとなりますので、登録免許税や不動産取得税が高くなりますので注意が必要です。

 

よって、「死因贈与契約」は、①受取る資産を事前に知っておいて欲しい場合や、②介護などの条件付きで財産を渡したい時や、③法定相続人以外の人に財産を遺したい時などに活用されるケースが多いようです。

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