相続税申告

2023.09.25

「小規模宅地等の特例」の賢い活用法

「小規模宅地等の特例」は店舗・事務所やアパート、駐車場などの賃貸している土地を相続する場合に適用されます。賃貸している土地は「貸付事業用宅地等」として特例の適用となりますが、「特定事業用宅地等」や「特定同族会社事業用宅地等」、「特定居住用宅地等」との併用が可能です。そのために限度面積の調整計算をした後、最も有利に減額されるものから優先して選択することで、節税につながる場合があります。

ここでは、「小規模宅地等の特例」における宅地等の利用区分と減額される割合について、解説します。

⑴ 被相続人等の事業の用に供されていた宅地等

貸付事業以外の事業用の宅地等 

  1. 特定事業用宅地等に該当する宅地等     限度額 400㎡  減額割合 80%

貸付事業用の宅地等

(一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除く)用の宅地等)

  1. 特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等 限度額 400㎡  減額割合 80%
  2. 貸付事業用宅地等に該当する宅地等     限度額 200㎡  減額割合 50%

(一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等)

  1. 貸付事業用宅地等に該当する宅地等     限度額 200㎡  減額割合 50%

(被相続人等の貸付事業用の宅地等)

  1. 貸付事業用宅地等に該当する宅地等     限度額 200㎡  減額割合 50%

⑵ 被相続人等の居住の用に供されていた宅地等

⑥ 特定居住用宅地等に該当する宅地等     限度額 330㎡  減額割合 80%

⑶ 限度面積の調整計算

貸付事業用宅地等(③④⑤)と、それ以外の宅地等(①②⑥)の併用時の限度面積の調整計算は、次のとおりです。

  1. +②)×200/400+⑥×200/300+(③+④+⑤)≦200㎡

(原則として無償で貸し付けている宅地等は、貸付事業用宅地等として特例の適用は受けることができません)

相続対策として専門性を要する制度ですが、有効に活用すれば大きな節税効果をもたらすことが可能です。活用される場合は、専門家に相談するなどして、特例を最大限に有効活用することをおすすめします。

この記事を書いた人

松本 岩光

松本 岩光

税務署に約40年間勤務した知識と経験を生かして、お客様のニーズにお応えします。お客様の不安や疑問に親切・丁寧にお答えして質の高いサービスを提供して参ります。

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