お客様からよくいただくご質問をまとめました。

「予算は?」「どこまでを対応してくれるの?」「どういう流れで相続税申告が進められるの?」と疑問に思うことがたくさん出てきますよね。

このページではそんなお客様の不安が少しでも解消できると幸いです。

電話やメールでもご質問いただければ専門のスタッフが対応させて頂きますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

相続税申告について

Q

特定路線価について教えてください。

A

路線価とは、相続税や贈与税の申告における土地の相続税評価額の算定の基になる価格のことをいいます。

通常、市街地の道路には路線価が設定されていますが、中には路線価がない道路もあります。
路線価の設定されていない道路に接している土地等を評価する必要があるときには、路線価(特定路線価)の設定の申出をすることができます。(財産評価基本通達14-3)

上記のとおり、路線価がついていない場合に特定路線価の申し出ができ、その申出に基づき税務署長が評定しますが、次の要件を全て満たしていることが条件となります。

1.特定路線価の設定を必要とする年分の路線価が公開されていること
2.相続税又は贈与税の申告のための申請であること
3.評価する土地が路線価地域にあること
4.評価する土地は路線価がない道路の身に接していること
5.対象の道路は評価する土地の専用通路ではないこと
6.対象の道路は建築基準法上の道路等であること

なお、上記に従って税務署長より特定路線価が設定された場合は、基本的に設定された特定路線価で評価することとなり、その他の評価方法での評価ができないこととなりますので注意が必要です。

また、特定路線価による評価方法を選択せずに、前面の路線価で土地を評価する方法や旗竿地評価をすることで、評価額が下がり相続税を低く抑えることが可能な場合も生じます。
このように、評価方法でお悩みの場合は、相続税に詳しい税理士に事前にご相談されることをお勧めいたします。

Q

相続税の申告に係る「債務控除」について教えてほしい。

A

相続税の「債務控除」の対象となる主な被相続人の債務(費用)は、以下のとおりです。
・金融機関等からの借入金残額
・未払金(相続開始時に確定しているもの)
・保証債務(債務者が返済不能で、返還(求償権)を受ける見込みがない弁済不能な債務)
・連帯債務(被相続人が負担すべき金額が明確な場合)
・被相続人の所得税の未納分
・土地や家屋に係る固定資産税の未納分など

また、相続税の「債務控除」の対象とならない主な債務(費用)は、以下のとおりです。
・相続人が相続登記をするための登録免許税および司法書士報酬
・香典返し、未払いの墓碑・墓地の買入費用、法要(49日など)の費用など

Q

特別受益について教えてください。

A

特別受益とは、一言でいうと相続分の前渡しといえる生前贈与のことで、故人から「生前贈与」や「遺贈」、「死因贈与」で受け取った利益を指します。
この制度は、相続財産の分割の際に公平に財産を分けることを目的として存在しています。
このような利益を受けた共同相続人を「特別受益者」といい、その利益を「特別受益」といいます。

「特別受益」とみなされる主なものは、次のとおりです。

◇婚姻時に受け取った持参金

◇住宅取得資金

◇扶養義務の範囲を超えた多額の援助

◇独立のための事業資金等

◇高額な高等教育の学費

なお、生命保険、相続人以外への贈与、おしどり贈与、死亡退職金などは「特別受益」に含まれません。
具体的に相続分を算出する場合は、「特別受益者」の利益分は相続分の前渡しとみなして算出します。

しかし、他の共同相続人の合意がある場合、また、被相続人が遺言書で持ち戻しを免除する意思表示をしていた場合は持ち戻さなくてもよいとされています。 
また、次のとおり近年において特別受益に係る法改正がされていますので、注意が必要です 

▽2019年7月1日の法改正により、遺留分を算定するための財産においては、相続開始前10年以内に行われた相続人への贈与と、相続開始前1年以内に行われた相続人以外への贈与の価額が持ち戻して計算されるようになりました。


▽2023年4月1日の法改正により、特別受益を主張できる期間が相続開始から10年となりました。

Q

相続した土地の一部が都市計画道路にかかっています。どのように評価したらよいでしょうか。

A

都市計画法に基づき整備することが決定した道路のことを「都市計画道路予定地」といいます。
この場合、都市計画法では道路の名称や建設する位置・区域、種別や車線の数などを定めることとされています。
「都市計画道路予定地」に、個人の私有地を含むエリアが存在すると都市計画法によって建築制限がかけられ、その後は、都道府県等の許可を受けなければ、自由に建物を建てることはできなくなります。

なお、この場合の建築制限とは主に次のとおりです。(都市計画法53条~57条)

① 階数が2以下で地階を有しないこと

② 主要構造部(壁・柱・梁・床・屋根・階段)が木造や鉄骨造、コンクリート造などであること

③ 建物は容易に移転、除去できるものであること
 
ご質問のように相続した土地が「都市計画道路予定地」として建築制限がかかっている宅地の場合、宅地としての利用価値が下がります。
このような土地の場合、財産評価通達24-7において、通常の宅地の評価額に「地区区分」、「容積率」、「地積割合」の別に応じて定める補正率を乗じて減額することができる規定が適用されると思われます。

なお、具体的な補正率は、上記の区分別に最高0.50~最低0.99まで24段階ありますので、財産評価通達24-7に規定する補正率表をご確認ください。
このように都市計画道路予定地内の土地は、評価対象地の地域性や画地条件の他、法的な建築制限などにより、減額率が大きく変わるものです。
したがって、まずは、役所に出向いて地積割合などを確認し、場合によっては正確な測量を行う必要があることを覚えておきましょう。

Q

複数の不動産を兄弟で相続することとなりました。不動産を共有した場合の問題点を教えてください。

A

遺産分割としては、法定相続分で分ける方法と遺産分割協議に沿って分ける方法があります。
不動産は預金の様にキッチリ分割ができませんので、どの不動産は誰が相続するか協議して決めていく遺産分割協議による相続が主となります。
その際に、なるべく相続人間で揉めたくないということで不動産を共有することも多くあります。

しかし、不動産の共有名義には単独名義にはないデメリットがあります。
現状では問題がなくても、将来的に各共有者の状況が変わったり、相続が発生したりで、問題が表面化するかもしれません。
共有者が親族であっても訴訟問題に発展するケースがあるため、共有名義は基本的に避けることをおすすめします。

不動産を共有した場合のデメリットは次の5点があげられ、主に権利関係の複雑化が問題となります。
① 不動産の処分に共有者全員の同意が必要

② 不動産の使用や管理に共有者の話し合いが必要

③ 離婚時の財産分与が複雑になる

④ 相続によって共有者が増えていく

⑤ 持分割合と出資割合を揃えないと贈与税が発生する。
 
このように不動産を複数人で共有するために、使用・管理・処分においてトラブルが起こりやすくなるのです。
また、共有者間の関係が疎遠になったり、次世代へ相続されたりしていくと問題解決が更に難しくなります。

Q

国外財産の相続税評価と相続税はどうするの?

A

国外に所在する土地を相続する場合は、国内における路線価方式や倍率方式を適用して評価することはできません。
そのため、財産評価基本通達に定める評価方法に準じて、売買実例価額や専門家の鑑定評価等を考慮して評価することとなっています。(財産評価基本通達5-2)

そして、課税上の弊害がない限りにおいて、その土地の①取得価額や、②課税時期において譲渡した場合の価額に、時点修正するための合理的な価額変動率を乗じて評価することができるとされています。

この場合の合理的な価額変動率は、公表されている諸外国における不動産に関する統計指標等を参考に求めることができます。

また、国外の財産には、日本の相続税と外国の相続税に相当する税が課税される場合があります。この場合は、外国と日本の二重課税を調整するために、外国で課税された相続税に相当する金額を日本の相続税から差し引くこととしています。

この制度を相続税の外国税額控除といいます。(相続税法20条の2)

つまり、国外財産について、その外国で日本の相続税に相当する税が課税された場合で、その国外財産を取得した者が日本においても相続税が課税となる場合については、日本の相続税額から外国で課された相続税に相当する税の一定額が控除されることになります。
なお、相続税の外国税額控除の適用要件は以下の通りです。

1 相続又は遺贈により財産を取得したこと

2 上記1により取得した財産が日本国外にあること

3 上記1により取得した財産について、その財産の所在地国において、相続税に相当する税が課税されたこと

Q

相続税の障害者控除について教えてください。

A

相続税の障害者控除とは、相続人の中に85歳未満の障害者がいる場合に相続税の額から一定の金額を差し引くことができる制度です。

中には、障害者控除の対象となった相続人が納めるべき相続税がゼロになることもあります。

この点では、相続税の基礎控除は相続財産の評価額から控除されますが、障害者控除は税額から控除されますので、相続税の軽減効果としては大変大きいものとなります。

◎障害者控除が受けられるのは次の全てに該当する人です

(1) 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人(一時居住者で、かつ、被相続人が外国人被相続人または、非居住被相続人である場合を除きます)

(2) 相続や遺贈で財産を取得したときに障害者である人

(3) 相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること

◎ 障害者控除額の計算方法は次のとおりです。

障害者控除の額は、その障害者が満85歳になるまでの年数1年(年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。)につき10万円で計算した額です。

なお、この場合、特別障害者の場合は1年につき20万円となります。
また、障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れないことがあります。

この場合は、その引き切れない部分の金額をその障害者の扶養義務者(注)の相続税額から差し引くことができます。
(注)扶養義務者とは、配偶者、直系血族および兄弟姉妹の他、3親等内の親族のうち一定の者をいいます。

なお、その障害者が今回の相続以前においても障害者控除を受けているときは、控除額が制限されることがあります。(出所:国税庁HP)
具体的な障害者控除額の計算式は以下のとおりです。

①一般障害者の場合(85歳-相続開始時点の年齢)×10万円
②特別障害者の場合(85歳-相続開始時点の年齢)×20万円

Q

相続税の申告期限である10ヶ月以内に遺産分割協議が整う可能性がありません。どうしたら良いですか?

A

相続税の申告期限は原則延長できません。
このような状態を「未分割」といいます。

「未分割」の場合の相続税の申告は、一旦、法定相続分で財産を分けたとして申告書を提出します。

しかし、注意を怠ってはいけないのは、「未分割」のままの申告では、「配偶者の税額軽減の特例」、「小規模宅地等の特例」(以下、「各特例」といいます。)が適用できませんので、相続税納税額は高くなります。
対応策としましては、「申告期限後3年以内の分割見込書」を「未分割」の申告書を提出する際に添付して提出します。

そして、その後、分割協議がまとまった段階で、その日の翌日から4か月以内に、各特例適用して再度申告手続きをします。
その手続きを「更正の請求」といい、計算内容等が認められれば払いすぎた税金が還付されます。

Q

事業をやっているので顧問の税理士がいるのだけれど…

A

現在の税理士さんはそのままに、相続税の申告だけを専門の税理士依頼することも可能です。

例えばお医者さんの世界を考えて下さい。
外科、内科、眼科など様々の専門分野があります。税理士の世界も同じです。
法人 が得意の方、医療系の申告が得意な方といろいろです。すべての税理士さんが相続の申告が得意とは限りません。

現在の税理士さんはそのままに、相続税の申告 だけを専門の税理士に依頼することは可能ですし、また賢い選択といえるでしょう。

Q

相続税申告は別々にできますか?

A

相続税申告は相続人ごとに、別々で行うことができます。
1つの相続税申告書に連名で税務署に提出する必要はありません。

ただし、別々に行った場合には注意点があります。
➀相続税を計算するにあたり、弟様が取得した財産を含めて計算しなくてはいけないこと
②相続税申告書を作成の際、弟様の取得した財産等についても記載しなければならないこと

つまり、申告内容に相違が無いよう、情報共有が必要となります。
なお、相続専門の税理士にお願いしても、申告内容が担当する税理士により多少の差異が出ることも あります。

万が一、財産額が異なる相続税申告書を各々税務署に提出した場合、税務署がどちらの申告書が正確 なのか「税務調査」に入る可能性が高くなることを考慮しておきましょう。

Q

私の主人が先月亡くなり、生命保険を妻である私が1,500万円受け取りました。 相続税はかかりますか? なお、長女は相続を放棄しています。

A

※法定相続人3人(被相続人(亡くなった人)の妻、長男、長女)
※生命保険契約 契約者(保険料負担者):被相続人
被保険者:被相続人
死亡保険金受取人:被相続人の妻


被相続人の妻が取得した死亡保険金のうち、500万円×法定相続人の数までは相続税がかかりません。
つまり、今回は1,500万円の受け取りでしたので相続税はかかりません。

なお、相続を放棄した相続人(長女)がいる場合でも、放棄がなかったものとして法定相続人の数にカウントすることができます。
また、相続人以外が死亡保険金を取得した場合、非課税の適用はありませんので、ご注意ください。

Q

相続税はいつまでに納めたら良いですか?

A

相続税には「申告期限」と「納付期限」があります。
「申告」は申告書と添付書類を取り揃えて国に納めるべき税額を報告することを指します。
「納付」は申告した税額を支払うことです。
それぞれの期限は両方とも「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内」と規定されています。

納税は「納付期限」までに、原則として現金による一括払いとなっていますが、期限までに納付できない場合には、納税を延滞したということで延滞税が課されます。
延滞税は「納付期限」の翌日から納付する日までの日数に応じて、半ば、自動的に課されるものです。

しかし、「納付期限」までに納付が困難なときは、延納又は物納の制度が認められる場合があります。
これらの制度の要件は次のとおりです。

①延納(以下の要件をすべて満たす必要があります)
・納付すべき相続税額が10万円を超えること
・金銭納付が困難な事由があり、その納付を困難とする金額を限度としていること
・担保を提供すること(延納税額が100万円以上、又は延納期間が3年を超える場合)

・延納申請書を「納付期限」までに提出すること
なお、延納期間は原則5年です。
しかし、相続財産のうち不動産等の価額の占める割合が75%以上である場合に限り、不動産等の価額に対応する部分の延納税額の延納期間が、原則として最長20年とされます。

②物納(以下の要件をすべて満たす必要があります)
・延納でも金銭納付が困難な事由があり、その納付を困難とする金額を限度としていること
・物納申請財産が定められた種類の財産で、一定の順位によっていること
・物納申請書及び物納手続関係書類を「納付期限」までに提出していること
・物納申請財産が物納適格財産であること

Q

私は相続税申告が必要なの?

A

相続税の申告が必要か否か判断するには、まず、ご自身の財産・債務をリストアップします。財産の総額が基礎控除を超えると申告が必要になります。



■基礎控除とは
相続税の申告が必要になるかどうかのボーダーライン



3,000万円+600万円×法定相続人の数



■法定相続人とは
配偶者および子(子がいない場合両親、さらに両親も亡くなっている場合には兄弟姉妹)

Q

不動産や有価証券の名義変更ってどうやるの?

A

相続登記は、法改正によって2024年4月1日から義務化されました。
ご自身で名義変更手続きをされる場合は、登記申請書と添付書面を不動産所在地を管轄する法務局に提出します。必要書類等は法務局のホームページで確認します。
費用はかかりますが、司法書士に全て依頼して登記を済ませる事ができます。

有価証券の名義変更は、被相続人の口座のある証券会社や金融機関に相続人が口座を開設し、移管します。
多くの証券会社等に分散されている場合、時間と手間が大変かかります。

ご高齢、もしくは営業時間内に証券会社等へ手続きに行くことが難しい方。どこから手をつけたら良いかわからない方。相続人の人数が多い、またはお住まいが離れている方。
TAO税理士法人のグループ会社(株)湘南財産コンサルタンツが皆様に代わり、遺産整理のお手続きの代行を行っております。

Q

遺産相続手続きって何をどうすればいいの?

A

まず、遺言書の有無を確認して下さい。無い場合には、相続人全員で遺産をどう分割するか決めます。

亡くなられた方の口座がある銀行や証券会社に相続が発生したことを連絡し、相続に必要な書類を送ってもらいます。
各金融機関から送られてきた書類を作成し、窓口や郵送で提出します。
その際には、亡くなられた方の出生~死亡までの戸籍謄本、相続人の戸籍・印鑑証明書などが必要となります。

Q

相続税をできるだけ低く抑えたい。

A

相続税は1つの申告において10人の税理士が作成すれば10人とも違う税額を算出する可能性があります。

相続財産のうち現預金は額面どおりの評価額ですが、土地の評価は間口や奥行き、形状などで評価額が大きく違う場合があります。
財産の大半が土地である場合はその評価額は課税額に大きく影響します。

相続税をできるだけ低く抑えるためには、土地の評価のノウハウを持っていることが不可欠なのです。
公図や登記簿だけで申告書を作成するのではなく、実地調査をして環境や形状を分析することで評価は変わることが多いのです。

例えば地積規模の大きな宅地の適用ができれば課税財産を大きく減らすことができます。
小規模宅地等の特例を使えるかどうかの判断が正確にできているか等で税額は大きく変わります。

また今回の相続だけではなく次の相続(2次相続)を考慮に入れてトータルの相続税額を検討することも重要です。
相続に詳しい、相続税申告の勘所がわかる税理士を選ぶことが重要です。
私共は複数の専門税理士が皆様のご相談にお答えいたします。お気軽にご相談ください。

Q

家族が亡くなったのだが、まず何をしたらよいのか分からない。

A

届出・手続きは100種類くらいあります。
お亡くなりなって7日以内に死亡届を役所に提出しなければなりません。
手続きに関するチェックリストが御座いますのでご利用下さい。

相続手続きは49日の法要を済まされてからで良いでしょう。
相続で最初にすべきことは遺言書の有無を確認することからはじめます。
ご家族を亡くされた悲しみの中で多くの手続きをしていかなくてはなりません。
まずは私ども専門家にご相談ください。

Q

夫を亡くし相続税の申告をしなければなりません。相続人となるのは、私の他に小学5年生の息子と、小学1年生の娘です。 どのような点に注意したら良いでしょうか?

A

相続が発生し配偶者の税額軽減や、小規模宅地等の特例の適用を受ける場合、遺産分割協議書の作成が必要となります。
未成年者は法律行為ができないため、独自で協議に参加できません。

そのために法定代理人が代わって手続きをすることになります。
法定代理人は、通常の場合ですと親権者である親が選任されますが、遺産分割協議に参加するような場合には、利益相反行為となるために、法定代理人となることはできません。
この場合は、家庭裁判所に特別代理人の選任の申立てをする必要があります。

また、未成年者が相続人の場合には、相続税の計算において未成年者控除の適用があります。
未成年者が20歳になるまでの年数に10万円を乗じた金額が相続税額から控除されることになります。

生前対策・贈与について

Q

遺贈の場合、受遺者は 「 遺贈の放棄 」 をすることはできますか。

A

遺贈には包括遺贈と特定遺贈の2つの種類があります。包括遺贈とは、遺産に対する割合を示して遺贈を行うことです。例えば、「相続太郎には、遺産の5分の1を遺贈する」という形で遺贈を行います。
また、特定遺贈とは、特定の財産を示して遺贈を行うことをいいます。例えば、「相続二郎には、A不動産やB預金を遺贈する」という形で遺贈を行います。

この2つの遺贈の種類によって「遺贈の放棄」の方法が異なりますので注意が必要です。そもそも贈与とは贈与者と受贈者との合意による契約ですが、遺贈は、遺言した人の一方的な意思表示です。
そのため、受遺者が期待しない財産を貰ってしまうことがあります。
また、相続人には遺留分という最低限に認められている権利があり、遺贈の仕方によっては、この権利を侵害して相続人と争いになる場合があります。生前の贈与の場合は「あげます」という申し出に対して「いりません」と断ればよいのですが、遺贈の場合は「遺贈の放棄」の手続きが必要となります。
具体的な「遺贈の放棄」の方法は、上述のとおり、包括遺贈と特定遺贈の2つの種類によって次のとおりとなります。

①包括遺贈の場合
包括遺贈の場合には、相続放棄と同様に家庭裁判所に申述をする方法になっています。申述は、申述書と遺贈がわかる書類を亡くなった方の最後の住所を所轄する地域の家庭裁判所に提出して行います。なお、包括遺贈は相続放棄に準じて行うことになりますので、包括遺贈があったことを知った時から、原則として、3ヶ月以内に申述をしなければならないという期間制限があることを知っておく必要があります。

②特定遺贈の場合
特定遺贈の場合には、上記①のような手続きの制限がないので、相続人や遺言書について遺言執行者がいる場合には同人に対する意思表示で行います。一般的に、実務上は「遺贈の放棄」をしたことを公に示す手段として内容証明郵便で行います。

Q

満期保険金を受け取った。税金はどうなる?

A

生命保険契約の満期金を受け取った場合、保険料支払者、および保険金受取人が誰であるかにより、 所得税、贈与税のいずれかの課税の対象になります。

詳細はこちらのコラムへ

Q

親から土地を借りて家を建てた場合に贈与税の対象にならないか不安です。

A

親の土地に子が家を建てるために無償で、その土地を借りる場合は、贈与税はかかりません。
この無償で借りることを「使用貸借」といいます。
厳密にいうと、贈与税の取り扱いにおける「使用貸借」とは、民法593条に規定する契約となります。この契約は、他人の物を無償で借りて使用及び収益するという契約で、無償という点で賃貸借と異なります。

しかし、相続税及び贈与税の取り扱いは、有償であっても対象土地の公租公課に相当する金額以下の金銭の授受である場合には、「使用貸借」に該当するとされています。

しかし、対象土地の借り受けについて地代の授受がないものであっても、権利金やその他の地代に代わる経済的利益の授受のあるものは、「使用貸借」に該当しないとされています。
(【通達】「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取り扱いについて」(昭和48年11月1日直資2-189(例規))

なお、上記の取り扱いは、あくまでも個人間の「使用貸借」に限るものであり、法人が当事者となる場合は、取り扱いが異なりますので注意が必要です。

Q

祖父と父から省エネ等の住宅(高断熱・高気密に造られ、エネルギー消費量を抑える設備を備えた住宅)を取得するための資金の贈与を受けました。祖父から700万円、父から700万円贈与を受けましたが、贈与税はかかりますか?

A

住宅取得資金贈与の特例制度は、もともと適用期限を令和5年12月31日までと定めていましたが、令和5年の税制改正大綱によりこの期限が3年延長されて、令和8年12月31日まで適用が延長されました。

なお、非課税限度額には変更がありませんでした。
省エネ等の住宅用家屋の非課税限度額は1,000万円、それ以外の住宅用の家屋の非課税限度額は500万円となります。

ただし、省エネ等住宅用家屋の適用要件が次のとおり変更されています。

〇変更前:省エネ性能「断熱等性能等級4以上又は一次エネルギー消費量等級4以上であること」であること

〇変更後:省エネ性能「断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上」であること
上記の変更は、令和6年1月1日以降に取得する住宅取得等資金に係る贈与から適用となりますので注意を要します

お尋ねのケースでは、祖父からの700万円、父からの700万円の合計額1,400万円のうち1,000万円が非課税となります。

これは、住宅資金非課税限度額が受贈者ごとの限度額となるためです。
なお、残額については、要件に該当すれば、相続時精算課税の特例が適用を受けることができます。

Q

今年、祖父から相続時精算課税の基礎控除を利用して110万円の贈与を受けました。その後、実父から暦年課税を利用して110万円を贈与され合計220万円取得しました。  相続時精算課税制度を一度でも利用すると、暦年贈与は利用できないと聞きましたが、この場合は贈与税はかかりますか。

A

お尋ねの場合は、贈与税はかかりません。
何故なら、相続時精算課税制度は贈与者ごとに制度利用ができるからです。
したがって、実父からの贈与は贈与者単位の原則から暦年課税の贈与税の基礎控除を適用できることとなります。

ただし、相続時精算課税制度では、贈与した祖父を「特定贈与者」といいますが、こうなりますと、今後、祖父からの贈与では暦年贈与は利用できないこととなりますので注意が必要です。

今回の法改正で、7年後の相続時において、相続人に対する暦年贈与は持ち戻しによって、相続財産に加算されることになりました。
これを受けて、贈与する人が高齢の場合は、相続時精算課税制度の基礎控除を活用する方が有効な選択といえるでしょう。

このように暦年贈与か相続時精算課税制度の活用かは、贈与する人、贈与される人の置かれた環境などによって有利不利が発生しますので、専門家に事前に相談されることをお勧めします。

Q

2024年中に私は長男に対して現金100万円の贈与をしました。なお、同じ年に長男は私の妻からも現金100万の贈与を受けております。この場合、贈与税はかかりますか?また、贈与税の申告は必要ですか?

A

贈与税の申告をするのは、財産をもらった人となります。
贈与した相談者様、奥様ではございません。

つまり長男様となります。
贈与税は、その年の1月1日から12月31日の1年間でもらった金額が110万円を超えると贈与税がかかります。

すなわち、長男様は、父から100万円、母から100万円、合計200万円もらっているので、贈与税がかかります。
なお、110万円を超える90万円分に贈与税がかかり、贈与税の申告をしなければなりません。

また、申告時期は、翌年の2月1日から3月15日の間に所轄の税務署に申告をすること、かつ金融機関に贈与税をお支払いする事が必要です。

Q

教育資金の一括贈与制度の改正について教えてください。

A

教育資金の一括贈与制度は、平成25年に創設されてから適用期間の延長が繰り返されて、令和5年3月31日までの期日となっていました。

今回の税制改正大綱により更に3年間の延長が決まり、令和8年3月31日までの延長となりました。

この制度の内容は、贈与者が30歳未満の子や孫の直系卑属に対して、教育資金として1,500万円までの一括贈与をした場合は、贈与税を非課税とするものです。

また、現行制度では贈与した人が死亡した際に教育資金として使いきれなかった残額があった場合は、その残額を相続財産に加算するとしていますが、受贈者が次の3つの要件を満たせば加算の対象外となっています。
・23歳未満の場合

・学校等に在学している場合

・教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合

しかし、今回の改正では、要件が厳格化されて贈与者の相続税の課税価格が5億円を超えるような富裕層であった場合は、たとえ上記の3つの要件を満たしていても、残額が相続財産に加算される持ち戻しの対象としています。

また、贈与者が存命中に受贈者が30歳に達して、一括贈与資金に残額があり贈与税が課される場合は、改正前は特例税率(家族向けの低い税率)が適用されましたが、改正後は一般税率(特例税率より高い税率)が適用されるようになります。
なお、この制度は、令和5年4月1日以降に利用した贈与から適用となります。

Q

遺贈と死因贈与の違いを教えて下さい。

A

遺贈は、遺言による贈与のことをいい、死因贈与とは贈与する人の死亡を条件に、贈与を受ける人との合意で行われる契約のことをいいます。 

その主な違いは以下のとおりです。

1. 遺言は財産を渡す人(被相続人)だけの一方的な意思表示により行われ、受取る人の承諾は必要がありません。
これに対し、死因贈与は財産を渡す人と受取る人との合意が必要で、受取る人の承諾を得なければ死因贈与契約は成立しません。

2. 遺言は民法でその方式は定められており、方式によらない遺言は無効になってしまいます。
これに対し、死因贈与は方式に定めはなく、口約束でも可能で必ずしも書面で行わなければならない訳ではありません。
とはいえ、口約束の場合、故人の真意と認められない可能性があります。
また、死亡後には生前の口約束の証明は困難になってしまいます。
後からトラブルが起きないように公正証書などの文書にしておくことが肝要です。

3. 書き直しや撤回は自由ですが、遺言書と死因贈与契約書の両方が発見された場合には、日付の新しい方が優先されることとなります。

4. 他の相続人の遺留分を侵害する遺言や死因贈与は、いずれも遺留分侵害額請求の対象となります。

5. 死因贈与により、土地や建物を移転すると不動産登記にかかる登録免許税が遺贈と比べて高くなる場合があります。

また、上記の他、遺贈と死因贈与の大きな違いとして、死因贈与には負担付贈与というものがあります。
これは贈与を受ける人が贈与を受ける代わりに、贈与した人の生活の面倒を見るなどの義務を負うという贈与形態です。
なお、負担付贈与では、贈与をした人が勝手に契約を破棄することは認められていませんので注意が必要です。

Q

任意後見制度について教えてください。

A

任意後見制度は、自分が判断能力を失う前に、あらかじめ判断能力を失ったときに財産を管理してもらう人を選んでおくものです。

したがって、任意後見制度の場合、ご自分が元気な内に後見人になる予定の方と任意後見契約を結んでおく必要があります。
判断能力を失うまでは自分が財産管理を行い、判断能力が減退した場合に、契約をしておいた後見人の方が職務を開始して、財産管理を始めることとなります。

この制度のメリットは、自らで後見人を選ぶことができ、財産管理の方法も定めておくことも可能であるというところです。

なお、任意後見制度では、必ず後見監督人が選任され、後見人が誠実に職務を果たしているかを監督します。
これは法定後見人と違って、後見人の選任にあたって裁判所が関与していないため、横領などの事件を未然に防ぐためと考えられます。

ご不明な点がある場合は、まず専門家に相談されることをお薦めします。

Q

海外の不動産は申告しなければ、税務署はわからないのではないですか。

A

それは間違いです。
税務署では購入資金の移動などから海外資産の所有状況をいろいろな方法で把握しようとしているといわれておりますし、そもそも申告しないことは脱税行為となりますので絶対に申告しましょう。

また、海外に5,000万円を超える財産を所有する方は、「国外財産調書」・「国外財産調書合計票」の提出が義務付けられていますので、各年末の12月31日の時点においてそれに該当する方は、翌年3月15日の確定申告期限までに提出する必要がありますので注意しましょう。

Q

海外の不動産や財産はどのように評価するのでしょうか。

A

日本における財産評価と同様の方法で相続税評価できるものはそれに準じて評価しますが、できないものは市場での取引価額やその分野に精通している専門家の評価を用います。

それでも評価が難しい場合は、購入価額やその購入した財産のある地域の同種類の財産の一般的な価額などを斟酌して評価します。 

Q

最近、良く海外不動産への投資が盛んになっていると聞きます、海外財産には相続税がかかる?

A

被相続人も相続人も日本で生まれ育って相続開始時まで日本に住んでいる場合には、遺された財産の所在が国内・国外を問わず全ての財産が日本の相続税の課税対象となります。

Q

贈与税の配偶者控除の特例について詳しく教えてください。

A

「贈与税の配偶者控除」は「おしどり贈与」とも呼ばれ、「居住用不動産を贈与又は取得資金を贈与」したときに、夫婦間に認められている贈与税の優遇制度で、2,000万円までなら贈与税を免除するという制度です。
贈与税には年間110万円の基礎控除がありますから、合計で2,110万円までが非課税となります。 

特例を受けるための要件は、次の3点です。
(1)夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと。

(2)配偶者から贈与された財産は、 居住用不動産であるか居住用不動産を取得するための金銭であること。

(3)贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること。
(注1)「居住用不動産」とは、専ら居住の用に供する土地もしくは土地の上に存する権利または家屋で国内にあるものをいいます。

(注2)配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。(国税庁)

例えば、夫名義のマイホームの一部を妻に贈与(おしどり贈与)した後に、夫が亡くなった場合、その贈与部分は相続財産にはなりませんので、相続税が軽減されるメリットがあります。
一般的に相続開始前3年以内に行われた贈与については、相続財産として相続税の対象になりますが、おしどり贈与の場合には相続財産になりません。
また、マイホームを売却して利益が出たときに、3,000万円控除される制度がありますが、夫婦がそれぞれ活用できると6,000万円が利益から差し引かれます。
なお、注意が必要なことは、不動産取得税や登録免許税がかかりますし、毎年、固定資産税や都市計画税の請求がくることになります。


贈与税の配偶者控除の特例(相法21条の6)チェックシート
(参考:国税庁)
1 贈与者(財産をあげた方)は、あなたの配偶者ですか。

2 婚姻の届出をした日から贈与を受けた日までの期間は20年以上ですか。

3 過去に、この特例を受けたことがありますか。

4 贈与を受けた財産は不動産(土地等・建物)又は金銭ですか。

5【不動産の贈与を受けた場合】その不動産は国内にある不動産ですか。
  【金銭の贈与を受けた場合】その金銭を翌年3月15日までに国内にある居住用不動産の取得に充てますか

6  その不動産は専ら居住の用に供しますか。

7  その不動産に現在居住しているか、または翌年3月15日までに居住する予定ですか。

8  今後、ひき続きその不動産に居住する予定ですか。

Q

未成年の孫への贈与について教えてほしい。

A

税務署から名義預金と指摘されます。
孫の親権者との間で民法上の契約要件である「あげる」「もらう」の意思の確認がなく、なおかつ、通帳と印鑑の管理もご自身が管理されているとなれば、贈与事実が認められず将来、相続財産になってしまいます。
また、贈与の相手が未成年者の場合は、親権者の同意が必要です。

Q

返済中の住宅ローンを含めてマイホームを贈与したい。注意点はありますか?

A

マイホームを贈与するに伴い、住宅ローンも引き渡す「負担付贈与」ですが、実は通常の贈与よりも大きな贈与税がかかってしまい、かつ相談者様にとっても思いがけない所得税等がかかるケースもありますので要注意です。

まず、もらった方には贈与税が発生する可能性があります。
具体的には、贈与されたマイホームの評価額(プラスの財産)から住宅ローンの残債額(マイナスの財産)を引いた金額(プラスとマイナスを相殺)に対して贈与税がかかります。

また、あげた方には所得税・住民税が発生する可能性があります。
贈与した財産は、住宅ローンの残債額と同額で売却したとみなされます。(みなし譲渡)

その際、今後住宅ローンを返済しなくていいという経済的利益を考慮して、その儲けに対して課税されることになります。
その儲けとは、「住宅ローンの残債額>住宅の取得費(購入時に要した費用)」となる場合です。
その差額を売却の利益とみなして、所得税・住民税が課税されます。

詳しくは、専門家に相談することをお勧めいたします。

Q

事業を次の代へ承継させたい。

A

日本経済を長く支えてきた経営者の高齢化が進み、次世代へのバトンタッチの時期が訪れています。
次世代へのバトンタッチが円滑に行えるかは「事業承継」の成否にかかっています。
では「事業承継」とはどのようなことで、いったいどのように進めれば良いのでしょうか?

一言で「事業承継」と言いますが、実は先代経営者が後継者に承継すべきモノは2つあります。
1つ目は「経営理念と経営ノウハウ」の承継です。
この承継が不十分だと企業の存続そのものが危ぶまれる点でとても重要です。
2つ目は「自己株式」の承継です。安定した経営を行うためにも後継者に株式を集中させることが原則となります。
また、「具体的にどのように事業承継を進めるのか?」ですが、大きくは①現状把握②事前準備③後継者の決定④事業承継の実行という流れで進めます。
まずは会社の置かれている状況・株主構成や現状の株価を把握しなければ事業承継はスタート出来ません。
現状を把握すれば次に事業承継を実行するための事前準備です。

この段階で既存株主の整理や後継者が事業を引き継ぎ易い組織作り等を行います。
そのうえで後継者を決定し、「経営理念・経営ノウハウ」と「自己株式」を承継します。
このように「事業承継」には4つのステップがあり、後継者の決定までに数年、さらに事業承継の実行に数年かかるケースも珍しくありません。

つまり、「事業承継」成功の秘訣は先代経営者の年齢を考慮して、なるべく早い時期に現状把握からスタートすることにあります。
では私共が「円滑な事業承継のためにどのようなお手伝いが出来るのか?」ですが、事業承継の入口である現状把握段階での株価算定に始まり、方向性決定への助言、全体スケジュールの作成、そして最終的な出口である後継者への株式移転まで税務・会計の範囲にとどまらないアドバイスが可能であると自負しています。


ぜひ私共と一緒に「皆が幸せになる事業承継」を始めてみませんか?

Q

遺言書を遺したい。

A

遺言書には自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
自筆証書遺言の作成支援も行いますが、多くの場合公正証書遺言の作成をお勧めしております。
公正証書遺言の作成にあたり遺言者様との面談でご意思を確認後に文面を作成、公証人を交えて確認・修正を行ってまいります。

費用は10万円~、所有資産の内容により加算します。
公証役場にかかる費用(5万円~)が別途発生します。

Q

生前贈与をしたほうが良いのでしょうか?

A

生前贈与をしたほうが良いかどうかの判断を行うにあたっては、資産の内容や、家族構成、承継問題等々、事前に検討すべき事柄がたくさんあります。

生前贈与の種類は以下の6つです。
① 年間110万円が非課税扱いとされる暦年贈与
② 夫婦間での自宅不動産の贈与(おしどり贈与)
③ 住宅購入資金等の贈与
④ 教育資金の一括贈与
⑤ 結婚・子育て資金の一括贈与
⑥ 相続時精算課税制度
この5つのうち、最も実施しやすいものは、①の暦年贈与です。
暦年贈与は長期間行うことで財産移転の効果が発揮されます。相続財産を減らすためには、出来るだけ早くから生前贈与を始めたほうが良いでしょう。

ここで注意していただきたいことは、財産をもらった人がご自身で財産の管理をすることです。
贈与をしたつもりでも、贈与した人が財産の管理をしていては、名義預金となり相続財産に取り込まれてしまう可能性があります。

令和5年度税制改正で贈与税大幅な改正がありました。ご相談をお待ち申し上げております。

Q

どうすれば相続税を減らせるの?

A

財産構成は人によってそれぞれです。

このため、下記のような節税対策を組み合わせて、その人にあった節税対策を行うことが重要です。



① 相続財産の評価額を引き下げる
・預金を生命保険へ組み換えることで生命保険の非課税枠を活用する。
・更地に賃貸アパートを建築するなどして、土地の利用方法を変更する。

・小規模宅地等の特例を適用するための要件を確認する。


② 相続財産を少なくする(生前贈与)

・年間110万円の贈与税非課税枠を使い、子や孫に贈与する。

・住宅資金の贈与の非課税枠を活用する。

・夫婦間で自宅不動産を贈与する(おしどり贈与)。

・教育資金の一括贈与を行う。
生前の対策は、これにとどまりません。私共専門家にご相談ください。

Q

私にもしものときは相続税の申告が必要?

A

相続税の申告が必要か否か判断するには、まず、ご自身の財産・債務をリストアップします。
財産の総額が基礎控除を超えると申告が必要になります。


■基礎控除とは
相続税の申告が必要になるかどうかのボーダーライン

3,000万円+600万円×法定相続人の数


■法定相続人とは

配偶者および子(子がいない場合両親、さらに両親も亡くなっている場合には兄弟姉妹)
ただし、子または兄弟姉妹がすでに死亡している場合には、子または兄弟姉妹の子が代わりに相続人となる。

不動産について

Q

土地の「地番」と「住居表示」の違いについて知りたい。

A

土地の「地番」とは、その土地の場所を示したもので法務局が定めています。
一方、「住居表示」とは、住居表示法という法律に則り、建物の場所を市町村が定めているもので、前記の「地番」とは全く別の番号となっています。

ただし、「住居表示」は全ての市町村で実施されているものではありませんので、実施されているかどうかは各役所のホームページなどを確認する必要があります。

また、現代においてはインターネットで地図検索ができますが、検索される対象は「住居表示」であるため、土地だけであるような場合や「地番」を基にネット検索をしても不動産の場所が特定できないことになります。
このような場合には、法務局に備え付けられている公図を取得して場所を特定することとなります。

Q

賃貸アパート・賃貸マンションの相続税評価について教えて下さい。

A

アパートや賃貸マンションを建てた場合は、民法上、借家人には借家権という権利が生じます。
それを踏まえて相続税ではその借家の敷地評価にあたり、「貸家建付地」として、更地より減額します。

その計算は次の通りとなります。
貸家建付地の評価額=更地評価額×(1-借地権割合×借家権割合)
なお、借家権割合は一律30%とされており、例えば借地権割合が60%の住宅地のケースでは、貸家建付地の評価額が更地評価額の82%となります。

また、建物についても貸家であれば、自用の場合の評価額より借家権割合の30%が減額されます。
ただし、相続発生時に空室がある場合は、賃貸割合という考え方を基本にその部分について貸家建付地の評価減額が認められません。

しかし、相続発生時に一時的に空室の状態であっても、下記の点に該当すれば総合的に判断して全体を貸家建付地として評価する方向性が示されています。
1.各部位・部分が課税時期(死亡時)前から継続的に賃貸されてきたものであること
2.賃貸人の退去後、速やかに新たな賃貸人の募集が行われたものであること
3.空室の期間が短期間で、その間に他の用途に供されていないこと
4.空室の期間が、課税時期の前後の例えば1か月程度であるかなど、一時的な期間ではないこと
5.課税時期後の賃貸が一時的なものでないこと

このように、相続発生時に空室であっても継続して賃貸の意思があり、実際にも賃貸募集活動を行っていれば「貸家建付地」として認められる可能性が大きいということになります。

Q

相続により賃貸用不動産を取得しました。そのため不動産所得の確定申告を行うこととなりました。必要経費となる賃貸借不動産の減価償却費の計算はどのようにすれば良いでしょうか。

A

減価償却とは、資産を買ったときに経費にするのではなく、資産の使用可能な期間にわたって、一部ずつ経費にしていく会計処理の方法のことです。
その方法は、大きく、定額法・定率法・旧定額法・旧定率法の4つがあります。
ご質問の場合、相続人は、取得価額の根拠となる被相続人の取得時期や取得価額・未償却残高・経過年数をそのまま引き継ぎます。

この場合の取得時期とは被相続人が不動産を取得した年月日で相続人が相続した日ではありませんので注意が必要です。
なお、相続した不動産の減価償却方法(定額法、定率法など)については、被相続人の減価償却方法をそのまま引き継ぐことはできず、原則として、相続人ご自身で選定された償却方法により行います。
所得税法上、納税者がその年12月31日において所有する減価償却資産につき、その償却費としてその人の不動産所得の金額、事業所得の金額等の計算上必要経費に算入する金額は、その人がその試算について選定した償却方法により計算した金額とすると定められています。

また、減価償却費の計算方法(定額法、定率法など)は、その取得した日及びその種類の区分に応じ変わりますので注意が必要です。
このように減価償却費は、節税効果は大きいですが、そのルールが複雑と感じられるかもしれません。
お困りでしたら、税理士に相談されることをお勧めいたします。

Q

生産緑地を相続することとなりました。生産緑地を存続させるか、また、売却するか迷っています。

A

①生産緑地として、長期間にわたり保有・管理を継続する場合
生産緑地は農地課税となります。したがって、保有・管理をしている間は、農業経営(耕作)を継続しなければなりません。

しかし、税金面では、固定資産税について、生産緑地が市街化区域内にありながら農業以外の利用が制限されるため、一般農地並みの課税となり、約100分の1程度に低く抑えられます。

また、相続税については、納税猶予の手続きを行うと、農業投資価格を超える部分の課税価格に対する納税が猶予されて、その相続人の死亡等の一定の場合には、その猶予額が免除されるメリットがあります。
なお、生産緑地を相続した場合は、農地の所有権移転登記と農業委員会への相続の届け出が必要ですし、相続税の納税猶予制度を適用する場合は、税務署に申告手続きが必要となります。 


②生産緑地を住宅用地(宅地)として売却する場合
相続した生産緑地を売却する場合は、相続人は生産緑地が所在する市町村長に対して、生産緑地の買い取りの申出を行います。
買い取り申出ができるのは、死亡時、又は、生産緑地の指定を受けてから30年を経過した日になります。
生産緑地の買い取りの申出を行うと、1ヶ月以内に買い取るか否かが市町村長から通知されます。
買い取る旨の通知があった場合は、時価を基本として協議の上、価格が決定されます。
買い取らない旨の通知があった場合は、市町村が農林漁業の従事希望者への斡旋を行います。
斡旋後、概ね2ヶ月以内に購入希望者が現れなければ、生産緑地の行為制限は解除されて、転用(宅地等)目的として第三者との売買が可能となります。

ただし、生産緑地の行為制限の解除と同時に、固定資産税の軽減措置等はなくなり、相続税の納税猶予も受けられなくなりますので、各種税金の負担が大きくなります。

Q

相続税申告における「家屋の相続税評価」についてお尋ねします。

A

家屋は、その利用状況等によって相続税評価に違いがあります。
次のとおり、代表的なパターンでお答えいたします。

被相続人が利用していた場合
固定資産税評価額×1.0
第三者に賃貸していた場合
固定資産税評価額×0.7
建築中の家屋の場合
費用原価の額×0.7
(費用原価とは相続開始時までに投下された建築費用をいいます。)

なお、固定資産税評価額は「固定資産税評価証明書」から確認します。
また、建築中に相続が発生した場合は、請負契約書や領収書などから投下された費用を算出します。
また、上記以外のパターンの場合は、専門家にお尋ねすることをおすすめします。

Q

相続した土地の一部が都市計画道路にかかっています。どのように評価したらよいでしょうか。

A

都市計画法に基づき整備することが決定した道路のことを「都市計画道路予定地」といいます。
この場合、都市計画法では道路の名称や建設する位置・区域、種別や車線の数などを定めることとされています。
「都市計画道路予定地」に、個人の私有地を含むエリアが存在すると都市計画法によって建築制限がかけられ、その後は、都道府県等の許可を受けなければ、自由に建物を建てることはできなくなります。

なお、この場合の建築制限とは主に次のとおりです。(都市計画法53条~57条)

① 階数が2以下で地階を有しないこと

② 主要構造部(壁・柱・梁・床・屋根・階段)が木造や鉄骨造、コンクリート造などであること

③ 建物は容易に移転、除去できるものであること
 
ご質問のように相続した土地が「都市計画道路予定地」として建築制限がかかっている宅地の場合、宅地としての利用価値が下がります。
このような土地の場合、財産評価通達24-7において、通常の宅地の評価額に「地区区分」、「容積率」、「地積割合」の別に応じて定める補正率を乗じて減額することができる規定が適用されると思われます。

なお、具体的な補正率は、上記の区分別に最高0.50~最低0.99まで24段階ありますので、財産評価通達24-7に規定する補正率表をご確認ください。
このように都市計画道路予定地内の土地は、評価対象地の地域性や画地条件の他、法的な建築制限などにより、減額率が大きく変わるものです。
したがって、まずは、役所に出向いて地積割合などを確認し、場合によっては正確な測量を行う必要があることを覚えておきましょう。

Q

複数の不動産を兄弟で相続することとなりました。不動産を共有した場合の問題点を教えてください。

A

遺産分割としては、法定相続分で分ける方法と遺産分割協議に沿って分ける方法があります。
不動産は預金の様にキッチリ分割ができませんので、どの不動産は誰が相続するか協議して決めていく遺産分割協議による相続が主となります。
その際に、なるべく相続人間で揉めたくないということで不動産を共有することも多くあります。

しかし、不動産の共有名義には単独名義にはないデメリットがあります。
現状では問題がなくても、将来的に各共有者の状況が変わったり、相続が発生したりで、問題が表面化するかもしれません。
共有者が親族であっても訴訟問題に発展するケースがあるため、共有名義は基本的に避けることをおすすめします。

不動産を共有した場合のデメリットは次の5点があげられ、主に権利関係の複雑化が問題となります。
① 不動産の処分に共有者全員の同意が必要

② 不動産の使用や管理に共有者の話し合いが必要

③ 離婚時の財産分与が複雑になる

④ 相続によって共有者が増えていく

⑤ 持分割合と出資割合を揃えないと贈与税が発生する。
 
このように不動産を複数人で共有するために、使用・管理・処分においてトラブルが起こりやすくなるのです。
また、共有者間の関係が疎遠になったり、次世代へ相続されたりしていくと問題解決が更に難しくなります。

Q

不動産の登記が簡略化されたと伺いましたが、内容を教えてください。

A

令和5年4月1日から不動産登記法が改正されました。
簡易な不動産の登記手続きが可能になったものの代表的なものは以下のとおりです。

〇相続人に対する遺贈による所有権移転登記(改正不動産登記法第63条第3項)
旧法では相続人への遺贈を登記原因とする所有権移転登記申請手続きは、遺言執行者(遺言執行者がいない場合は相続人全員)の関与が必要とされていました。
これが、その不動産の遺贈を受けた相続人のみで手続きが可能となりました。
但し、相続人以外への遺贈を登記原因とする所有権移転登記申請手続きは遺言執行者(遺言執行者がいない場合は相続人全員)の関与が必要です。

〇買戻し特約に関する登記の簡易な抹消手続き(改正不動産登記法第69条の2)
旧法では不動産所有者と買戻権者が共同して手続きをすることが条件とされていた買戻特約登記の抹消登記申請手続きが、買戻特約付き売買契約日から10年を経過している買戻特約登記の抹消については、不動産所有者が単独で登記申請することが可能となりました。

〇すでに実質的に存在していない法人の担保権に関する登記の簡易な抹消手続き(改正不動産登記法第70条の2)
次の4つの条件を満たした場合、解散した法人の担保抹消登記申請を不動産所有者が単独ですることが可能となります。

① 抹消の登記義務者にあたる法人が解散していること

② その法人の解散の日から30年を経過していること

③ 「相当な調査」が行われたものの「清算人の所在が判明しない」ため、抹消登記が申請できないこと
④ 被担保債権の弁済期限から30年を経過していること

上記をはじめ、その他にも不動産登記手続きについての改正があります。
詳しくは司法書士等の専門家にご相談されることをお勧め致します。

Q

「小規模宅地等の特例」を適用して、一人暮らしの父親から自宅を相続しました。
空き家にしておいて、いずれ売却したいと考えています。売却時に「空き家に係る譲渡所得の特別控除」の特例は受けられますか?

A

要件次第で適用を受けられます。
ご質問のケースは、持ち家のない相続人(いわゆる、「家なき子」)が父親から自宅を相続して「小規模宅地等の特例」を適用したもの考えられます。

この場合、「小規模宅地等の特例」を受けたうえで、更に相続した自宅を売却した場合に「空き家に係る譲渡所得の特別控除」を受けられるかどうかが疑問になられていると思われます。

「空き家に係る譲渡所得の特別控除」には、「小規模宅地等の特例」を受けた場合の除外規定はありません。
したがいまして、「空き家に係る譲渡所得の特別控除」に係る次の要件さえ満たしていれば適用が可能となります。

①相続開始直前において被相続人が一人で住んでいたこと

②その家屋(マンション棟の区分所有建物等を除く)が昭和56年5月31日以前に建築されたものであること

③相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用、(無償貸付も含む)、又は居住の用に供されていないこと

④令和5年12月31日までに売却すること

⑤売却金額が1億円以下であること

⑥相続の時から3年後の年の12月31日までに譲渡すること

⑦家屋を取り壊さず売却するときは、その家屋が新耐震基準に適合するものであること

Q

相続した不動産に「公衆用道路」の土地がありました。「公道」と「私道」の違いを教えてください。

A

「公衆用道路」は「公」という字がついているので「公道」と勘違いしやすいですが、必ずしも公共のものとは限りません。
法的には不動産登記規則で定義される23種類の地目の内の一つで、所謂、公道・私道の区別で使われるものではありません。

例えば、個人の所有である「私道」であっても「公衆用道路」として登記されている道路も多いようです。
したがって、まずはその土地の所在を確認し、接する土地と一体となった「私道」なのか、それとも私道のみなのかなどを調べる必要があります。
一般的に公道と私道の違いは以下のようになります。

「公道」とは基本的に国や地方公共団体が所有している道路であり、その維持管理などは国や地方公共団体が行います。

「私道」とは単独所有の他に、共有のケースもありますが、その維持管理などは私道の所有者が行い、そのための費用などは所有者の負担となります。

特に、私道を共有している場合において、例えば、維持管理を行うための工事などを行う際には、共有者の同意が必要で工事などが簡単にできないこともあるので注意が必要です。

なお、公道でも私道でも「建築基準法上の道路」に該当すれば、その道路に面した土地に建物を新築することができます。

Q

不動産取得税や登録免許税は、相続で不動産を取得した場合でもかかりますか?

A

不動産取得税は、不動産を取得した人に貸される地方税(道府県税)です。
また、登録免許税は不動産の登記をする際に課税される国税です。通常、不動産の取得や登記をした場合には、これらの税金がかかることとなります。

しかし、不動産取得税については、①「相続」や②「包括遺贈」(民法964条)、③「被相続人から相続人に対してされた遺贈」により取得した場合に限っては、かからないこととなっています。

一方、登録免許税は、不動産の登記に対して課される税金であるため、相続で不動産を取得した場合でも登記されている名義人を変える登記(通称「相続登記」といいます)を行うと、その際に登録免許税を納めることとなります。

しかし、相続登記に係る登録免許税については、平成30年度及び令和4年度の税制改正により、次のような免税措置が設けられています。
(改正内容)
個人が不動産を相続により取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、平成30年4月1日から令和7年3月31日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さない。

Q

被相続人である父が所有する別荘は小規模宅地等の特例の対象となりますか?

A

小規模宅地等の特例の対象となる「被相続人等の居住の用に供されていた宅地等」(特定居住用宅地等)の判定は、基本的に被相続人等が、その宅地等の上に存する建物に生活の拠点を置いていたかどうかにより判定されます。

具体的には①被相続人の日常生活の状況、②その建物の入居目的、③その建物の構造及び設備の状況、④生活の拠点となるべき他の建物の有無、などの事実関係を総合勘案して判定されることになります。

したがって、次のような場合は、たとえ被相続人等がその建物に居住していた事実があったとしても、被相続人等が生活の拠点を置いていた建物とは判定されません。
 
イ 居住の用に供する建物の建築期間中だけの仮住まいである建物

ロ 他に生活の拠点と認められる建物がありながら、小規模宅地等の特例の適用を受けるためのみの目的で一時的に入居した建物

ハ 主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有する建物
(出所:国税庁Q&Aより)

Q

「空き家特例」(相続した空き家の売却)のポイントを知りたい。

A

相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人が一人住まいとして居住の用に供していた土地・家屋(家屋は昭和56年5月31日以前に建築されたもの)を相続した相続人が、①その家屋を取り壊して更地にして売却するか、②その家屋に耐震リフォームを施して売却した場合には、譲渡所得(譲渡収入金額-必要経費)から3,000万円が特別控除されます。

例えば、次の条件で上記の①と②のケース別で比較してみましょう。

・譲渡収入金額4,000万円

・必要経費を購入価額がわからない土地・家屋の場合の概算取得費(売却価格の5%が取得価格となる取り扱い)

・家屋取り壊し費用200万円

・家屋の耐震リフォーム費用1,000万円

①更地にして売却するケースの場合(概算取得費) (取り壊し費用)(特別控除)
4,000万円-200万円(4,000万円×5%)-200万円-3,000万円=600万円が譲渡所得となります。

税額は、600万円×20%=120万円(所得税15%・住民税5%)となります。 

②耐震リフォームを施して売却するケース(リフォーム費用)(特別控除)
4,000万円-1,000万円-3,000万円=0円が譲渡所得となります。
このケースの場合は、譲渡所得が0円ですので税額は発生しません。

以上のとおり、①更地にして売却するか、②耐震リフォームを施して売却するかを選択する際には、どちらのケースが高く売却できるかなど、あらゆる面から熟慮して決める必要があります。
事前に専門家にご相談されるようお奨めいたします。

Q

相続した不動産を売却した場合の税金について教えて下さい。

A

不動産を売却した場合、その所有期間によって所得税・住民税が変わります。
不動産の売却益に相当する譲渡所得に対しては、その所有期間によって短期譲渡所得と長期譲渡所得に区分され、所得税・住民税の税率が変わります。
所有期間が5年以下の場合は、短期譲渡所得とされ、所得税30%・住民税9%と復興特別所得税として所得税額に対し2.1%が課税され合計で39.63%の税率で課税されます。

所有期間が5年を超えた場合は、長期譲渡所得とされ、所得税15%・住民税5%と復興特別所得税合わせて20.315%の税率となります。

また、相続した不動産を売却した場合、所有期間の算定基準は売却した年の1月1日時点での期間で判定することとなっていますが、その取得時期は前所有者(被相続人)の取得時期が引き継がれます。

例えば、亡くなった前所有者(被相続人)が2016年5月15日に不動産を取得していた場合で、その後、その不動産を相続して2022年5月16日に売却したとしましょう。


この場合は、実際に所有していた期間は5年と2日となりますが、税務上の売却時の所有期間の判定時期が2022年1月1日となることから、所有期間は2016年5月16日から2022年1月1日の約4年7ヶ月と判定されます。

このように不動産の売却を検討する場合には、その所有期間が5年を超えると税率が大幅に下がることから、相続した不動産の所有開始時期の確認を確実にして、短期・長期の判断をされることはとても重要なことです。

Q

「2項道路」とはどんな道路ですか?

A

現行の建築基準法では、建物を建築する場合には、道路に面した土地でないと建てることはできません。(接道義務といいます)
ここでいう道路とは、幅員が4m以上のものをいいます。(建築基準法42条1項)

しかし、そうすると建築基準法の施行前の古くからある住宅街などには4mに満たない道路が多いため、建て替えができないことになってしまいます。

そこで、幅員が4m未満であっても行政が指定した路線については建築基準法上の道路とみなす処置がとられました。
これが、俗に「2項道路」と呼ばれている道路です。(建築基準法42条2項)
「2項道路」は、道路の中心線から水平距離2mずつ後退した線(セットバックといいます)を道路の境界線とみなすことで、建て替えを認めることとした緩和措置規定です。

相続税の財産評価基本通達においては、課税の公平を確保するためにセットバックしなければならない土地の評価について、通常の自用地として評価した価額から、道路とみなされる部分に対応する価額の70%相当額を控除することとなっています。

Q

保有する不動産について、将来の相続に備えたアドバイスは有りますか?

A

不動産には、預貯金や有価証券と比較して換金性に劣るという弱点があります。
したがって、弱点を補う観点から、「土地3分法」の考え方に基づき、事前に不動産の色分けをしておくと良いでしょう。

「土地3分法」とは
・自宅等の「残す土地」
・有効活用して「収益を得る土地」
・納税等のため「売却できる土地」
の3つに色分けすることです。

自宅等の思い入れのある土地や、高収益のアパートの敷地などの良質な土地を次の世代に引継ぎ、条件のよくない土地や低収益のアパートの敷地、あるいは将来の分割に困ることが想定されるような土地を「売却できる土地」に色分けするのです。

認知症について

Q

任意後見制度について教えてください。

A

任意後見制度は、自分が判断能力を失う前に、あらかじめ判断能力を失ったときに財産を管理してもらう人を選んでおくものです。

したがって、任意後見制度の場合、ご自分が元気な内に後見人になる予定の方と任意後見契約を結んでおく必要があります。
判断能力を失うまでは自分が財産管理を行い、判断能力が減退した場合に、契約をしておいた後見人の方が職務を開始して、財産管理を始めることとなります。

この制度のメリットは、自らで後見人を選ぶことができ、財産管理の方法も定めておくことも可能であるというところです。

なお、任意後見制度では、必ず後見監督人が選任され、後見人が誠実に職務を果たしているかを監督します。
これは法定後見人と違って、後見人の選任にあたって裁判所が関与していないため、横領などの事件を未然に防ぐためと考えられます。

ご不明な点がある場合は、まず専門家に相談されることをお薦めします。

Q

高齢となり、認知症の発症が気になっています。収益不動産を複数所有していますが、最近は記憶力や体力の衰えを感じ、このまま不動産管理が続けられるかがとても不安です。子供たちに財産管理を任せる「親子信託」について教えてください。

A

お尋ねのとおり、親が認知症になって判断能力を失ってしまった場合、不動産の管理や処分等ができなくなってしまいます。
したがって、入居契約や大規模修繕もできなくなり、売却しようとしても、そのタイミングを失することもでてきます。

このようなことが懸念される場合に親子間の信頼関係に基づいて信託に落とし込むのが「親子信託」です。

具体的には、財産の所有者である父親が「委託者」となり、その委託を受けて実際に財産を管理する「受託者」が子という設定が一般的です。
また、信託された財産から生じる収益を受け取る「受益者」は生前の間は父親とし、父親が亡くなった場合は、その配偶者とするケースが多いようです。

そして、その配偶者の死亡時に信託を解消して、相続財産にする形にするのが望ましいでしょう。このようにして「親子信託」を活用すれば、お尋ねのような財産管理の不安が解消できるのではないでしょうか。

なお、信託契約を締結する際には、信託法や税法上で様々な要件や規制がありますので、詳しくは専門家にご相談されることをお勧めします。

Q

親が認知症になったら資産管理はどうすればいいですか?

A

①認知症の高齢者等の後見人にはご親族の選任を検討してはいかがでしょうか。
本人の財産管理を家族等が代理する財産管理等委任契約と並行して、本人が認知症と診断された場合には家族の誰かが任意後見人となるという任意後見契約を書類化しておくことです。
その書類を公証人役場に行って契約として有効にしておく手続きです。

②「家族信託」と呼ばれる信託契約を結んでおくことを検討しては如何でしょうか。
例えば、不動産を信託対象の財産として、親本人が委託者、長男が受託者となって、財産の管理・処分を任せ、その受益者を、最初は親本人、次は親の配偶者、さらには親の子供(例えば長女)などを指定します。
そうすれば信託銀行を使わずに、私的な信託契約が可能です。
不動産等管理すべき財産が明確で、本人が将来こうしたいという内容がはっきり決まっている場合には有効な方法です。

家族信託について

Q

家族信託(民事信託)の信託財産は遺産分割協議の対象にならないのですか?

A

家族信託(民事信託)とは、信託契約の一種で、一般的には「委託者」が「受益者」となるケースが多く、「受託者」が信託財産を管理・処分等を行います。
信託法上では、「委託者」が信託財産とした財産の所有権は「受託者」に移ります。

しかし、課税法上は、その財産は受益権という権利に変って、原則として「受益者」のものとみなされます。
お尋ねの場合は、上記のとおり家族信託において信託財産は「委託者」の財産ではなくなり、原則、「受益者」のものとみなされますので、信託契約をした後に「委託者」が死亡した場合は、遺産分割協議の対象財産とはなりません(受益者がいない信託を除く)。
ただし、この受益権を相続により移転する場合は、所有権を相続により取得する場合と全く同様に相続税が課税されます。

また、信託財産以外の委託者の財産についても相続手続きが行われることとなりますが、ここで、注意しなければならないことがあります。
それは、「委託者」としての地位も相続の対象となってしまうことです。

つまり、「委託者」の相続人が「委託者」の権利を引き継ぐこととなるのです。
このことは、「委託者」の権利を相続人の誰が引き継ぐかという争いのもととなりかねません。
この問題を解決するためには、信託契約の条項に「委託者」の死亡により「委託者」の権利が消滅することを特約として加えることになります。

Q

家族信託の活用方法を教えてほしい。

A

家族信託は下記の項目に該当する方にご検討いただく価値があると考えられます。

自分や自分の家族が認知症になった後も、相続税対策を継続したい!(相続税対策信託)
配偶者が認知症なので、自分がなくなった時の遺産分割協議に参加できない(認知症対策信託)
二次相続以降の財産の遺し方まで考えておきたい(二次相続指定信託)
認知症になった後も、子どもや孫へ教育資金や結婚式費用を定期的に贈与したい(金銭贈与信託)
遺産の大半が不動産だが、相続人が複数おり、家賃だけ平等に残したい(共有解消型信託)
再婚を予定しており、新しい配偶者に財産を引き継ぎさせたいが、配偶者死亡後は財産を家族に戻したい(受益者連続信託)
親族に障碍者や自立生活が難しい者がおり、長期的に生活を支援したい(障碍者支援信託)
不動産所得が700万円以上あり、法人化したいが費用が気になる(流通税節税信託)
株価が低いうちに、株式は贈与したいが、経営権は残しておきたい!(逆株式信託)
今は、株価が高いので、贈与も譲渡もできない!でも近い将来、株価が下がるのは明確!(株式信託)

遺産分割について

Q

財産分けの際の不動産の評価はどの評価額を用いますか。

A

価額の基準としては、固定資産税評価額、相続税評価額、不動産仲介業者による査定額、不動産鑑定評価額、など様々な価格の評価基準があります。
それがゆえに相続人間で意見が割れてしまうことが非常に多いのです。原因は、不動産を相続しない相続人からすると不動産の評価は高い方が良く、不動産を相続する相続人からすれば、不動産評価は低い方が良いからです。

例えば、2人で対等な割合で相続財産を相続する方針となった場合、不動産を相続しない相続人は不動産評価が高くなればなるほど、自身が相続する他の財産が増加します。
逆に不動産を相続する相続人は不動産評価が低くなるほど、自身が相続する他の財産が増加します。
もちろん、遺産分割の際に基本的に相続人の全員が合意すれば、どの様な評価基準を基にしても差支えはありませんし、分割の内容や取得割合を自由に定めることができます。

しかし、相続人間で考え方が違う場合には、上記のとおり評価の方法で紛争になるケースが少なくありません。
不動産評価は相続する財産の価額に大きな影響を与えることから、不動産の評価方法で話し合いがもつれると紛争が長期化し、相続人間の気持ちにわだかまりを残すことになってしまいます。

これを回避するには、被相続人が生きているうちから相続人間の意思確認を図り、ある程度、対策をしておく必要があります。

Q

小規模宅地等の特例の適用をすれば、基礎控除以下でしたので相続税の申告は必要ないと思い込み、遺産分割協議も行っていませんでした。既に、相続税の申告期限は過ぎていますが、これから遺産分割をして小規模宅地等の特例の適用を受けて申告をすることはできるのでしょうか。

A

小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、申告期限までに共同相続人又は包括受遺者により遺産分割が行われていなければなりません。
申告期限が過ぎていますと、このままでは適用は受けられないこととなります。

ただし、次のとおり特例の適用を受けることができる場合があります。
①申告期限後に提出する申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておき、相続税の申告期限から3年以内に分割された場合
(租税特別措置法第69条の4第6項)
②上記①の手続きをして、なお、相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日において相続等に関する訴えが提起されているなど、一定のやむを得ない事情がある場合には、申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過する日までに、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出し、その申請につき所轄税務署長の承認を受けた場合には、判決の確定の日などの日の翌日から4か月以内に分割された場合

なお、適用を受ける場合は、上記①・②ともに分割が行われた日の翌日から4か月以内までに「更正の請求」を行う必要があります。

Q

遺言書の内容通りに遺産分割はしなければなりませんか?

A

被相続人が遺言書を作成していても、次の2点の問題となる場合を除き、相続人全員が遺言書の内容を承知した上で、相続人全員の合意のもと、その遺言書と異なる内容の遺産分割協議を成立させることは可能です。
 
1点目は、遺言書において、遺言執行者が指定されている場合があります。
民法第1013条第1項では、相続人は、遺言の執行を妨げる行為をすることはできないと規定されています。この場合、相続人全員以外に遺言執行者の了解を得ることが必要となります。

2点目に、相続人以外の人に遺贈されている場合があります。

この場合、遺言書と異なる遺産分割をするのであれば、受遺者に遺贈の放棄をしてもらわなければなりません。

Q

遺言書が遺産分割後に出てきましたが?

A

この場合、再度相続人が集まり、意思確認が必要です。
遺産分割後であっても遺言書の内容が有効なためです。
遺言書には時効がありません。

ただし、前回の分割協議の内容で相続人同士が納得していれば、例えそれが遺言に反する遺産分割であっても、原則、遺言書に束縛されることはありません。

Q

共同相続人の住まいが遠隔地でバラバラです。遺産分割協議の方法を教えて下さい。

A

遺産分割協議の行い方に特段の制限はありません。要は相続人全員の意思が一致して遺産分割協議が成立すれば良いのです。

ですから、全員が一箇所に集まって相談をしなくても、例えば、①1枚の遺産分割協議書を各相続人に順番に送付して署名・捺印してもらう方法や、②同じ内容の遺産分割協議書を各相続人分作成してそれぞれに送付し、各人に署名・捺印してもらうやり方などがあります。

元来、法的には書面を作成する必要は無いのですが、相続税の申告で特例を受ける場合とか不動産登記や預貯金の名義の書換えなどの手続きに遺産分割協議書が必要となります。
また、後々「言った、言わない」の争いになることを防ぐためにも、一般的には遺産分割協議書を作成します。

一方で、遺産分割協議が成立しなかった場合は、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることができます。
調停が不成立となったときは、審判手続きに移行して「相続」ではなく、所謂、「争続」となってしまうケースも少なくありません。

Q

遺産の分割を円満に済ませたい。

A

遺言書がない場合もしくは遺言書があっても相続人全員が同意した場合には、相続人全員の合意を経た後、連名で署名捺印した遺産分割協議書を作成して相続手続きを行います。

うちは財産が少ないから大丈夫と思っていませんか?

家庭裁判所の取り扱う遺産分割事件のうち75%が遺産総額5000万円以下です。
円満に済ますには、相続人がそれぞれの方々の立場や実情を尊重し、譲り合いの心で話し合うことがとても重要となります。


私共はご依頼があれば遺産分割の円満解決の方策の助言や提言をいたします。円満相続は私共の使命と思って取り組んでおります。
相続財産のなかでも不動産の分け方は難しいことが数多くあります。売れない土地、事業用の土地など分割するのに困難を極める場合が多いのです。

また、ご主人が亡くなり配偶者と子供が相続人の場合、次の相続を考えて(二次相続といいます)遺産の分割を考えておく必要があります。
我々専門家のアドバイスをご活用されることをお勧めいたします。

Q

遺言書が2通見つかりました。どうすればよいの?

A

日付が違う2通の遺言書が見つかった場合、原則、日付の新しい遺言書が優先されます。

なお、自筆証書遺言と公正証書遺言において、種類によっての優劣はありません。
ただし、以前の遺言書と最新の遺言書の内容が重ならない場合は、2通とも有効となりますので、ご注意ください。

(例)以前の遺言書「藤沢の自宅は妻に相続させる」
 最新の遺言書「TAO銀行の預貯金は妻、長男、および次男にそれぞれ3分の1ずつ相続させる」

その他

Q

ゴルフ会員権を相続しますが、相続税評価額の計算を教えて下さい。

A

ゴルフ会員権は昔と比較すると価格が下落していますが、それでも平均100万円程度と高額なため、相続税申告においては相続財産として評価し財産計上する必要があります。
具体的な相続税評価方法は次のとおりです。

①取引相場のあるゴルフ会員権の評価

取引相場がある場合は、「通常の取引価格×70%」の算式によって評価します。なお、取引価格に含まれない預託金等がある会員権は「通常の取引価格×70%」に預託金等の額を加算します。

②取引相場のないゴルフ会員権の評価

*株式会員制のゴルフ会員権
 ゴルフ場の株式の価値と同じになるため「取引相場のない株式の評価」に基づいて評価をします。

*預託金制のゴルフ会員権
 返還される預託金が相続税評価額になります。

*プレー権のみのゴルフ会員権
 相続税法上において財産価値がないため、相続税評価を行う必要はありません。

Q

被相続人が契約していた貸金庫の相続手続きについて教えてください。

A

①被相続人が貸金庫を利用していた場合は、相続手続きが必要となります。
なぜなら、貸金庫の中に相続財産が入っている場合もあるため、金融機関での煩雑な手続きを踏んだ上で、中身を確認する必要があるからです。

②まずは最初に、貸金庫の利用の有無を確認します。
一般的には、預金口座の通帳を確認すると、利用料金が引き落とされていることが多いので発見が早いです。
貸金庫の鍵は借主と、あらかじめ届け出た代理人が使用できます。
しかし、契約者が死亡した場合は、代理人は事後の相続人間の相続トラブルを回避するために、他の相続人や金融機関に無断で貸金庫の開閉はしない方が無難です。

③金融機関は、契約者が死亡したことを察知すると、預金口座の凍結と同時に貸金庫の開閉もできなくしてしまいます。
そして、貸金庫を開閉するには、例えば、相続手続書類に相続人全員が署名捺印するなどの手続きが必要となります。
また、相続人全員が(同席できない相続人は委任状)貸金庫のある金融機関に赴き解約手続きをして、貸金庫のカードや鍵を返却します。
これらの手続きを経て、やっと、貸金庫に案内してもらい内容物を受け取ることができる運びとなります。
なお、相続人の全員の足並みが揃わない場合は、公証人の立ち合いの下、確認作業をしてもらうという手段もあります。

Q

家庭の事情により協議離婚することとなりました。現在、居住している自宅の取扱いについての質問です。自宅については、妻に財産分与することになりました。その場合の課税関係について教えて下さい。

A

お尋ねの自宅の財産分与は、民法768条の規定により妻から「財産分与請求権」の主張があったことにより資産の移転をする行為となります。
この場合、税務上においては、所得税基本通達33-1の4の規定により、その分与をした時において、その時の価額によりその資産を譲渡したものと取り扱われます。

したがって、その分与時の時価で譲渡したものとして譲渡所得の計算を行うこととなります。
譲渡所得の計算においては、通常、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除及び軽減税率の特例は、配偶者等の親族への譲渡については特例の適用は受けることができないことになっています。

しかし、財産分与による資産の譲渡の場合は、離婚後における譲渡になるため、配偶者の親族への譲渡には該当しないことになり、居住用財産の特例の適用を受けることが可能となります。

一方、財産分与を受けた配偶者(妻)については、税務上、財産分与請求権(民法768条)に基づく財産の取得であるので贈与により取得した財産には当たらないと解されています。
したがって、原則として、財産分与を受けた者に贈与税は課せられないことになります。

ただし、その分与については、財産が婚姻中の夫婦の協力によって形成された財産と比較して過大と認められる場合には、その過大な部分に対して経済的利益の贈与があったものとして取り扱われることなりますので注意が必要です。

Q

個人年金を受給中に相続が開始した場合の税務上の取り扱いについて教えてください。

A

近年、公的年金に加えて個人年金に加入する人が増加しています。
個人年金を受け取っていた人が死亡して、遺族が年金を受け取る権利(年金受給権)を取得した場合は、相続税などの課税対象となる場合があります。

また、年金受給権を取得後にその年金の受け取り方によって、所得税の課税関係なども発生します。
ご質問の年金受給中の個人年金は、年金受給権が発生後の相続開始であることから、その権利はみなし相続財産として相続税の対象となります。
つまり、年金受給権の残存期間を相続人が引き継いで年金を受け取る場合は、被相続人がそれまでに負担した保険料の割合分がみなし相続財産となって相続税の対象となります。

なお、年金受給権は死亡保険金ではないので、死亡保険に係る一人500万円の非課税枠は適用されませんので注意が必要です。
また、相続等により年金受給権を取得した人が、実際に金銭を受け取る場合は、年金方式か一時金方式のいずれかを選択する場合が一般的です。
①年金方式を選択した場合は、雑所得として所得税の課税対象となり(相続税の課税対象となった部分を除く)、②一時金方式を選択した場合は、相続等で年金受給権を取得した人には所得税は課税されません。

このように、相続財産の中に年金受給権がある場合は、相続税などの税金以外にも検討すべきことが多いことから、生前から専門家に相談しておくことも必要なのかもしれません。

Q

準確定申告をしたら還付金がありました。還付金の税務処理はどうなりますか。

A

準確定申告による還付税額は、相続税の課税の対象となります。

なぜなら、還付請求権が被相続人の死亡後に発生するとしても、被相続人の生前に潜在的な請求権が被相続人に帰属しており、これが被相続人の死亡により潜在化したものと考えられるためです。
したがって、これらの請求権に基づいて還付金を取得した場合は、相続財産に加算して相続税の申告をする必要があります。

Q

セカンドオピニオンについて教えてください。

A

相続税の申告納税は終わったが、相続税が多くかかり過ぎたように感じたり、申告をお願いした税理士がたよりなく税額の算出に不満がある時はご相談ください。

相続税を再計算し、当初の納税額が払い過ぎていれば、申告そのものをやり直し税金を還付してもらえます。
この手続きを更正の請求といいます。
請求期限は相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10カ月以内)から5年以内なので、実質5年10カ月の間は更正の請求が可能ということです。

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